平成25年〔民法〕〔設問1〕(1)  ノート⑦

続いて将来債権譲渡の効力発生時期に関する最高裁平成19年2月15日第一小法廷判決

「将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約は,譲渡の目的とされる債権が特定されている限り,原則として有効なものである(最高裁平成9年(オ)第219号同11年1月29日第三小法廷判決・民集53巻1号151頁参照)。また,将来発生すべき債権を目的とする譲渡担保契約が締結された場合には,債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款のない限り,譲渡担保の目的とされた債権は譲渡担保契約によって譲渡担保設定者から譲渡担保権者に確定的に譲渡されているのであり,この場合において,譲渡担保の目的とされた債権が将来発生したときには,譲渡担保権者は,譲渡担保設定者の特段の行為を要することなく当然に,当該債権を担保の目的で取得することができるものである。そして,前記の場合において,譲渡担保契約に係る債権の譲渡については,指名債権譲渡の対抗要件民法467条2項)の方法により第三者に対する対抗要件を具備することができるのである(最高裁平成12年(受)第194号同13年11月22日第一小法廷判決・民集55巻6号1056頁参照)。
 以上のような将来発生すべき債権に係る譲渡担保権者の法的地位にかんがみれば,国税徴収法24条6項の解釈においては,国税の法定納期限等以前に,将来発生すべき債権を目的として,債権譲渡の効果の発生を留保する特段の付款のない譲渡担保契約が締結され,その債権譲渡につき第三者に対する対抗要件が具備されていた場合には,譲渡担保の目的とされた債権が国税の法定納期限等の到来後に発生したとしても,当該債権は「国税の法定納期限等以前に譲渡担保財産となっている」ものに該当すると解するのが相当である。」

 

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=34139&hanreiKbn=02